The Tales Of Sanmi-No-Tyujyou
 古もの尽くし

左大臣邸

女二の宮の辺り。
もったりと重たい夜の中、そこだけに晧々と燈台の明かりがついている。
どうやら女二の宮は眠ってはいないようだ…。


三位中将
「宮…夜は寝なければいけないのですよ…。」




女二の宮
「なぜなの?」




三位中将
「あなたに合わせてみんな起きていなくてはならなくなる…
 ほら御覧なさい…命婦もたいそう眠そうですよ…」



女二の宮
「命婦はとっくに寝ているわ。それは宰相の君よ。」




三位中将
「は・は・は。…いや…あの、でも油も無駄でしょう…
 そうだ。いい事をお教えしましょう$宮。昼間はいらないのですよ…油が…」



女二の宮
「でも、昼間はどうしてもねむくなりますの!」




三位中将
「お分かりでしょう?宮。そのために夜は眠るのです…」




……………………


女二の宮
「……どうせ、今日も露草さんのところへいかれるんでしょう?」




三位中将
「何でもありませんよ。」




女二の宮
「末の松山です!」




三位中将「これは手厳しい…しかしね、宮。
 あの方はやがては東宮の許へ上がられるのですよ…
 何につけてもお覚えになることはよいことなのです。」



女二の宮
「たしかに中将の君は指南役には向いているわ。
 でも、でもでもでもでも、心配です!!」



三位中将
「はは。何も心配いりませんよ…宮。
 (面白いから、露草の君がまだ十ばかりだとはお教えしないでおこう…)」


翌日…


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