The Tales Of Sanmi-No-Tyujyou 古もの尽くし |
左大臣邸
女二の宮の辺り。
もったりと重たい夜の中、そこだけに晧々と燈台の明かりがついている。
どうやら女二の宮は眠ってはいないようだ…。
「宮…夜は寝なければいけないのですよ…。」
「なぜなの?」
「あなたに合わせてみんな起きていなくてはならなくなる…
ほら御覧なさい…命婦もたいそう眠そうですよ…」
「命婦はとっくに寝ているわ。それは宰相の君よ。」
「は・は・は。…いや…あの、でも油も無駄でしょう…
そうだ。いい事をお教えしましょう$宮。昼間はいらないのですよ…油が…」
「でも、昼間はどうしてもねむくなりますの!」
「お分かりでしょう?宮。そのために夜は眠るのです…」
……………………
「……どうせ、今日も露草さんのところへいかれるんでしょう?」
「何でもありませんよ。」
「末の松山です!」
「これは手厳しい…しかしね、宮。
あの方はやがては東宮の許へ上がられるのですよ…
何につけてもお覚えになることはよいことなのです。」
「たしかに中将の君は指南役には向いているわ。
でも、でもでもでもでも、心配です!!」
「はは。何も心配いりませんよ…宮。
(面白いから、露草の君がまだ十ばかりだとはお教えしないでおこう…)」
auther:Toukai Karinoko
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