The Tales Of Sanmi-No-Tyujyou 古もの尽くし |
左大臣邸
翌朝。角盥や鏡なとを並べ
眠そうな女二の宮が女房に朝の支度を手伝わせている。
突然、がばっと顔を上げて。
「…心配だわ。そうよ。これはきっと浮気、なんだわ!」
「なんですか、宮様。お行儀がよくありませんよ。
それにそのようなことのあろうはずがございませんよ。」
「そういう問題ではないわ。まだわからないの?命婦。
これは普通のことではないのよ、きっと!」
「ほほほ、まあまあ。まさか宮さまをお見限りになるなど。
そのようなことお出来になろうはずがございませんよ。」
「お前、年を取ったのね…。ああ、かわいそうに。
でも、私にはわかるのよ…!」
「……宰相の君。」
「お呼びですか?」
「宮さまがお悩みです。お相手なさい。」
「(また私に厄介払いを…)
これはまあ、どのようなご用事でしょう?
私にはあてき役は難しゅうごじますわ。」
「ああ、宰相の君。お前だけがたよりなの!」
「うれしゅうございますわ。どうしたことでしょう?宮さま。」
「いいえ。いいえ。女房のお前にはいえない事です。」
「…(じゃあ$私にどうしろと。)」
「でもお前も長年のわたくしの女房ならわかっているはず!」
「(…だめね。完全にのってらっしゃる)
まあ…!それはどうしたことでしょう、宮さま。」
「お前を北東の対の付きの女房にします。」
「は?」
「探ってらっしゃい!い・ろ・い・ろ・と!」
auther:Toukai Karinoko
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